大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大津地方裁判所 昭和53年(わ)48号 判決 1978年7月03日

本籍及び住居

滋賀県守山市荒見町三六四番地

職業

仏壇仏具販売修理業

田中広吉

昭和三五年一月一〇日生

出席検察官

小見山道有

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金一、二〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金四万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、滋賀県守山市荒見町三六四番地において、「田中仏壇店」の名称で仏壇・仏具の販売及び修理業を営んでいるものであるが、所得税を免れようと企て、

第一  昭和四九年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、所得金額が五、一四七万三、三〇三円で、これに対する所得税額が二、五二九万八、六〇〇円であるのにかかわらず、売上の一部を除外して簿外預金にする等の不正の行為により所得を秘匿したうえ、昭和五〇年三月一五日、同県草津市大路二丁目三番四五号所在の所轄草津税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が七八二万八、〇一四円で、これに対する所得税額が一四二万一、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の所得税額二、三八七万七、〇〇〇円を免れ、

第二  昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、所得金額が三、九九〇万二、三九九円で、これに対する所得税額が一、七八二万四、七〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正の行為により所得を秘匿したうえ、昭和五一年三月一五日前記草津税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四八〇万四、四六六円で、これに対する所得税額が四九万九、一〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の所得税額一、七三二万五、二〇〇円(違算分四〇〇円を差し引き)を免れ、

第三  昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、所得金額が四、五五七万七、四二二円で、これに対する所得金額が二、一二五万六、七〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正の行為により所得を秘匿したうえ、昭和五二年三月一五日前記草津税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二三七万八、九七八円で、これに対する所得税額が九万九、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の所得税額二、一一五万七、〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書五通

一、被告人作成の昭和四九年度、同五〇年度、同五一年度各所得税の確定申告書の写

一、田中弘の大蔵事務官に対する各質問てん末書一一通(証拠等関係カード(甲)の証拠標目番号-以下たんに検甲号証と略称-1.4.6ないし14)

一、田中幸男の大蔵事務官に対する各質問てん末書五通(検甲17ないし20.23号証)

一、今井小ふじの大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、伊藤弘子、斉内四郎、谷口雄資、葵田正明の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、被告人及び田中弘作成の確認書

一、大蔵事務官作成の査察官調査書一八通(検甲38ないし55号証)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は所得税法二三八条一項に該当するので、所定刑は懲役刑と罰金刑を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をなし、罰金刑につき同法四八条二項により判示各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一〇月及び罰金一、二〇〇万円に処し、右の罰金を完納することができないときは同法一八条により金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 坂詰幸次郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例